退職所得にかかる住民税の特例

更新日:2022年01月01日

個人の住民税は、原則として前年中の所得をもとに計算することになっていますが、退職所得(退職金、退職手当など)については、他の所得と分離して退職手当等が支払われるときに住民税が徴収されます。

1 退職所得にかかる住民税の概要

住民税の所得割は、前年中の所得について市町村が税額を計算しますが、退職所得については、退職手当等の支払者(会社など)が、退職者に退職手当などを支払う際に、他の所得と分離して退職所得に対する税額を計算し、支払額からその金額を天引きして、これを市町村に納入することになっています。

退職所得に対する所得割の納税のしくみ

  1. 退職者(=納税者)が「退職所得申告書」を退職手当等の支払者(会社など)に提出
  2. 退職手当等の支払者(会社など)が退職所得にかかる住民税額を計算
  3. 退職手当等の支払者(会社など)退職手当等の支払いのときに住民税を差し引く
  4. 退職手当等の支払者(会社など)が差し引いた住民税を市に納入(納期限は、差し引いた月の翌月10日)

2 住民税の計算方法

(ア)退職所得の金額

まず、退職手当などの収入金額から退職所得控除額(勤続年数に応じて、退職手当から差し引く控除)を差し引いて、退職所得の金額を計算します。同じ退職手当であれば、勤続年数が長い人ほど、税額が安くなります。また、分離課税にかかる所得割の課税標準額は所得税と同額になります。

令和3年度税制改正について

役員等(注意1)以外の人で、勤続年数5年以下の人は、退職手当等の金額から退職所得控除額を控除した後の金額の2分の1の額を課税の対象としていましたが、令和4年1月1日以降に支払いを受ける退職手当等は、退職所得控除額を控除した後の金額のうち300万円を超える部分について、2分の1の額ではなく、全額が課税の対象となります。

(注意1)「役員等」とは次に掲げる人をいいます。

  1. 法人税法第2条第15号に規定する役員
  2. 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
  3. 国家公務員及び地方公務員

令和4年1月1日以降に支払いを受ける退職手当等

次のように計算した額が退職所得の金額となります。(千円未満切捨て)

勤続年数5年以下の役員等に支払われる退職手当等

退職所得の金額=退職手当等の金額-退職所得控除額

勤続年数5年以下の役員等以外の人に支払われる退職手当等

・退職手当等の金額から退職所得控除額を控除した後の金額が300万円以下の場合

退職所得の金額=(退職手当等の金額-退職所得控除額)×2分の1

・退職手当等の金額から退職所得控除額を控除した後の金額が300万円を超える場合

 退職所得の金額=150万円+{退職手当等の金額-(300万円+退職所得控除額)}

上記以外のものに支払われる退職手当等の金額

退職所得の金額=(退職手当等の金額-退職所得控除額)×2分の1

令和3年12月31日以前に支払いを受ける退職手当等

次のように計算した額が退職所得の金額となります。(千円未満切捨て)

勤続年数5年以下の役員等に支払われる退職手当等

退職所得の金額=退職手当等の収入金額-退職所得控除額

上記以外のものに支払われる退職手当等

退職所得の金額=(退職手当等の収入金額―退職所得控除額)×2分の1

(イ)退職所得控除額の計算方法

  1. 勤続年数が20年以下の場合
    40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
  2. 勤続年数が20年を超える場合
    800万円+70万円×(勤続年数-20年)

(注意2)勤続年数は、1年未満の端数は切り上げて計算します。
例:勤続年数が25年6か月の場合は6か月は切り上げて、勤続年数は26年になります(このときの退職所得控除額は、800万円+70万円×6=1,220万円)

(注意3)在職中に障害者に該当することになったことで退職した場合は、退職所得控除額に100万円を加算した金額が控除されます。

(ウ)住民税額の計算

(ア)で計算した退職所得の金額に税率をかけて税額を計算します。

市民税額

(ア)で計算した退職所得の金額×市民税率6%(A)

県民税額

(ア)で計算した退職所得の金額×県民税率4%(B)

注意事項
  • 退職所得金額は千円未満切り捨てです。
  • 徴収額の100円未満の端数は切り捨てます。

(エ)同一年中に2以上の退職所得等を受けた場合の税額の計算

まず、2以上の退職金を合算した金額で税額を求めます。次に、他の退職金等で課税された税額との差額を計算して他社分の税額を計算します。(計算方法については、下記の「4 計算例2」をご覧ください。)

3 計算例1(同一年中に1つだけ退職手当等を受けた場合)

勤続年数25年で退職し、14,223,632円の退職手当等を受けた場合

(ア)退職所得の金額

勤続年数が25年なので、退職所得控除額は、800万円+70万円×(25年-20年)=1,150万円

したがって、退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)×2分の1

=(14,223,632―1,150万円)×2分の1

=1,361,000円(千円未満切り捨て)

(イ)住民税額の計算

市民税額

(ア)で計算した退職所得の金額×市民税率6%(A)
=1,361,000円×6%
=81,660円
=81,600円(百円未満切り捨て)

県民税額

(ア)で計算した退職所得の金額×県民税率4%(B)
=1,361,000円×4%
=54,440円
=54,400(百円未満切り捨て)

住民税額

市民税額+県民税額
=市民税額81,600円+県民税額54,400円
=136,000円

4 計算例2(同一年中に2以上の退職手当等を受けた場合)

  • A会社の退職
    退職手当3,250万円、勤続年数30年8か月、退職した日令和4年2月26日
  • B会社の退職
    退職手当150万円、勤続年数4年、退職した日令和4年7月30日

(ア)計算方法

  1. A会社を先に退職していますので、まずA会社が徴収する税額を計算します。
  2. A会社とB会社の合計の税額を計算します。
  3. A会社とB会社の合計の税額からA会社が徴収した税額の差額が、B会社が徴収する税額になります。

(イ)A会社が徴収する税額

(1)勤続年数

勤続年数が30年8か月なので、切り上げて31年になります。したがって退職所得控除額は、800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円

(2)退職所得

退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)×2分の1

=(3,250万円-1,570万円)×2分の1

=840万円

(3)退職所得にかかる住民税

市民税額

840万円×6%=504,000円

県民税額

840万円×4%=336,000円

(ウ)A会社とB会社の合計の税額

(1)勤続年数

32年

(注意)合計の税額を計算しますので、ここで必要な勤続年数はA会社とB会社を合わせた勤続年数です。B会社の勤続年数4年のうち、A会社の勤続年数と重複していない期間が4か月と4日あります。したがって、A会社とB会社の合計の勤続年数は、A:30年8か月+Bで重複していない分(4か月と4日)=31年と4日となりますので、切り上げて32年になります。

(2)退職所得控除額

800万円+70万円×(32年-20年)=1,640万円

(3)退職所得

退職手当の総額は、A:3,250万円+B:150万円=3,400万円
したがって、退職所得は(3,400万円-1,640万円)×2分の1=880万円

(4)退職所得にかかる所得割額

市民税額

880万円×6%=528,000円

県民税額

880万円×4%=352,000円

(エ)B会社が徴収する税額

(1)市民税額

(ウ)A会社とB会社の合計の税額-(イ)A会社が徴収した税額
=528,000円-504,000円
=24,000円

(2)県民税額

(ウ)A会社とB会社の合計の税額-(イ)A会社が徴収した税額
=352,000円-336,000円
=16,000円

関連情報リンク

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 課税課 市民税係

〒325-8501
栃木県那須塩原市共墾社108番地2

電話番号:0287-62-7121
ファックス番号:0287-62-7221

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