ちっちゃな自然み~つけた(ナンバー184)

更新日:2021年11月30日

樹液から見える林の環境~樹液に集まる昆虫とシロスジカミキリ~

【令和2(2020)年8月5日号】

雑木林や河原に生息するクワガタムシの一種。大顎の内側は、のこぎりの歯のようにギザギザしている。大顎は、大型の個体は長く湾曲するが、小型の個体は直線的で短い。那須地域では大型のものを「ワニ」、小型のものを「ノコ」と呼ぶことがある。

樹の幹に群がるオオクワガタとカナブンの写真

樹液に訪れるノコギリクワガタとカナブン 撮影日:2015年6月29日 撮影場所:井口

樹の幹に留まっているシロスジカミキリの写真

シロスジカミキリが幹から抜け出す瞬間

毎年、夏になるとコナラやクヌギの幹から、養分を含む樹液が染み出します。その発酵した甘酸っぱい香りに誘われて、多くの昆虫たちが訪れます。

樹液にやってくる昆虫の顔ぶれは、時間帯によって変わります。昼はオオムラサキやヒカゲチョウなどのチョウ類をはじめ、カナブンやアリ、ハエ、ハチの仲間が訪れます。なかでもオオスズメバチは、強力な顎と毒針で他の昆虫を圧倒し、樹液を独り占めします。一方、夜はカブトムシやクワガタムシのほか、ガやゴキブリなどもやってきます。樹液をめぐって大きな角や顎で争う場面を見ていると、私たちもつい興奮してしまいます。

ところで、樹液はどのようにして出るのでしょうか。その要因の一つは、シロスジカミキリの暮らしにあります。シロスジカミキリは、樹皮を円形にかじって産卵します。卵からかえった幼虫は、材を食べながらトンネル状に掘り進み、幹の中で成長を続け、羽化した後に幹から抜け出します。こうした活動により幹の内部にある師管や道管が傷つき、樹液が染み出すのです。

シロスジカミキリは、樹皮が厚くなった大木やササが生い茂った林には、産卵をしない傾向があるといわれています。樹液が出る木があることは、定期的な伐採や下草刈りなど林の管理が行き届いている指標といえるでしょう。

じゅんじ

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