温泉神社石幢
この石幢は、奈良時代から湯治場として栄えた塩原最古の温泉場である元湯の旧元湯温泉神社に奉納されたものである。銘文によると、石幢は永正15年(1518)4月に、願主昌泉により悪疫流行を治めるために奉納されたとある。
元湯は、かつては「元湯千軒」と呼ばれ、関東から奥州に抜ける交通の要衝のひとつとして会津方面への往来が盛んであった。元湯があった湯本村は万治2年(1659)4月20日の大地震により85軒の村落が甚大な被害を受け、さらに天和3年(1683)の日光大地震により壊滅した。村人たちは新湯(あらゆ)村・高原村・上塩原村・下塩原村等へ四散して再起の道を選んだ。この石幢も、地震後の正徳3年(1713)に、当時の領主であった宇都宮藩主により、温泉神社と共に、現在地に遷(うつ)されたものである。
鎌倉期から室町期にかけて盛んであった地蔵信仰の供養塔で、また、湯本村の隆盛を物語る貴重な資料でもある。
石幢は重制六地蔵石幢で、基礎上に円柱状の竿(幢身)を立て、中台をのせ、龕部(がんぶ)をおき、笠をかぶせ、請花・宝珠(ほうじゅ)をあげる。基礎には蓮弁を刻み、竿(幢身)は太く、中ほどに二条の隆帯を刻出した円筒状石を3個積上げたもので、中台は外反し、六角形の龕部は各面に1体ずつ地蔵菩薩立像を刻出、笠石も六角形つくり。太い竿(幢身)のものは珍しい。
竿(幢身)中央部に「為一切聖霊己願主昌泉永正十五年四月吉日敬白」の印刻銘がある。

名称
温泉神社石幢(おんせんじんじゃせきどう)
指定年月日
昭和33年(1958)8月29日
員数
1基
指定別
県指定
区分
有形文化財
種別
歴史資料
所在地
那須塩原市湯本塩原3
所有者
新湯温泉神社
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更新日:2021年11月30日