ちっちゃな自然み~つけた(ナンバー159)

更新日:2021年11月30日

アリの家族は徹底された分業社会

【平成30年(2018年)7月5日号】

ムネアカオオアリって?

働きアリは全長7~12ミリメートルほど。名前のとおり胸から腹の付け根にかけて、赤褐色を帯びている。枯れて腐った幹などに巣をつくる。市内では平地から山地まで広く分布する。

緑色のクローバーの上にとまっている翅の生えたムネアカオオアリの女王アリの写真
翅を自ら落としたムネアカオオアリの女王アリの写真

初夏のよく晴れた日に、翅の生えたアリを見かけることがあります。これは、限られた時期に現れる特別なアリです。

アリは、体つきや役割によって3つの階級に分かれています。普段私たちが目にしているのは働きアリで、食べ物を集めたり、子育てをしたりします。また、働きアリの中には頭がひと際大きな兵アリと呼ばれるものもいて、巣を守ったり、大きな食べ物を細かく噛み切ったりします。一方、女王アリは、働きアリと比べて胸や腹が大きく、がっしりとした体つきをしています。初めの子が羽化するまでは自分で世話をしますが、子が成虫になった後は産卵に専念します。

家族が多くなると、翅をもった若い女王アリと雄アリが生まれます。そして、気温が高い日に、一斉に巣から出て結婚飛行に飛び立ちます。女王アリは他の家族の雄アリと出会い交尾をします。その後、地面に降り立ち、いらなくなった翅を自ら落として、新しい巣をつくるのです。

近年の研究によると、実は働きアリも産卵する能力を持っていることが分かりました。それにもかかわらず卵を産まないのは、働きアリ同士がお互いに監視して、家族構成を適切にコントロールしているからと考えられています。

アリの社会は、私たちが思っている以上に複雑で絶妙なバランスで成り立っているのかもしれませんね。

じゅんじ

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